制作業界において効率化ということを意識すると、制作者はもう少し報われると思う。
僕はWeb制作業界で10年以上勤めていますが、どこの制作会社でも残業残業の日々でした。22時に帰れれば定時に帰れたくらいに少しうれしくなるような、今考えたら異常な勤務時間だったと思います。
僕は昔からどうしてこんな残業することになるんだろう、と考えていました。
最初は間に合うようなスケジュールを引いているはずなのに、どこかでほころびが出てきて最終的に納期がきつくなってくる。では、どこからそのほころびが始まったのだろうかということをよく考えていました。
自分で経営に携わってみると、お金の面など含めて社員として働いている以上のことが見えてきます。 意識も変わってきます。
そういう状況下になって、自分なりに考えた結果、制作現場において非効率なことが多いということに気が付きました。
制作というのはクリエイティブであってお金に関係なく、ベストな作品をお客様に提供するのが我々の使命なんだ、というようなことを言う人がいます。
クリエイターとしては正しいのかもしれませんが、ビジネスという面においては必ずしも、これが正しいとは思えません。
もちろん、良いものをお客さんに提供して喜んで貰える、満足していただけるということは制作名利に尽きることです。時にはお金以上の喜びにも繋がります。
しかし、ビジネスという点では、いかに稼働率を減らして売上を上げるかが大切だと思っています。そうしないと体を壊すまで制作をして、結局制作自体が嫌いになってしまい可能性もあるかと思うのです。
僕は、制作業の効率化のことを考えることで、制作者はもう少し報われると思うのです。制作の効率化とは単純に手先が早いとかそういうことだけでなく、見積りなどのお金も含めて、制作に携わるみんなが意識することです。
ということで、僕が制作ビジネスという面において、制作の効率化が大切だと思う理由について書いてみます。 アーティスト依りのクリエイティブな方は読まなくても良いかと思います。
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予算を把握しないで過剰なサービスすることがブラック起業への第一歩。
よくお金のことはプロデューサーにお任せなんて言って、制作管理をしているのに、自分の管理している仕事の見積りを知らないディレクターが結構います。
自分が担当している案件がどのくらいの工数でどのくらいの予算感で成り立っているのか知らないでよく管理出来るな、と思います。
例えば工数計算で3日で計算している仕事があるとします。
お客さんへの提出もぴったり3日後です。
ディレクターが品質にこだわりまくってデザイナーに何度も修正をさせ、3日間で残業をしまくりました。
ここで、ディレクターは始業から終業まで8時間のはずなのに、残業をすることで引き伸ばして10時間にしてしまっていたとします。
そうすると、3日の工数は実質4日くらいになってしまいます。
そうすると工数赤字なのです。
どうせ残業代出ないんだから、と思われる方もいるかも知れませんが、結局こういう考え方が無自覚にブラックな働き方を作り出しているのです。
ブラック企業については経営者が叩かれがちですが、少なくとも僕が経験した制作業界では現場(特にディレクターなどの管理者)が作り出しているように感じます。
今日やる必要ないことは明日に回すのも効率化。
よく制作現場では定時過ぎてから、たらたらと修正指示なんかを出す人がいます。
別に明日でも良いのに「いや、これは今日やってしまおう」とお客さんも帰ってしまってから修正をしたりします。
定時後にたらたらと指示を出すような人はフレックスをフルに使って遅めに出社する傾向が強いです。僕は早く出社して早く帰りたい方なので、フレックスというルールがあまり好きではありません。
明日の業務が詰まっていて、今日やっておかないと大変なことになるならまだしも、翌日は始業時間から1時間過ぎて出社するようなゆとりがあるのであれば、明日でも良いのかと思います。
すぐにやる、ことも大切ですが、明日で良いことは明日やるというのも無駄な稼働時間を減らすことに繋がります。
インターネットの業界はスピード命なのも分かっています。
すぐにやることが大切なことも分かっていますが、制作ビジネスという観点から考えると、明日で良いことは明日に回すのも効率化だと思います。
お客さんもいつまでもやってくれると思っているから、どんな時間にでも修正の連絡などをしてくるわけであって、最初からきちんと時間で終業時間2時間前までとか、修正の受付なんかも区切ってやっていけば、それで回っていきます。
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みんなで残る必要がなければ必要ない人は帰るのも効率化。
Web業界は作業分担が細かい割には、みんなで残ったりしています。
確かに忙しく制作している人を尻目に帰るのは気が引けますし、逆に人が忙しい時にさっさと帰られるとカチンとくることもあります。
しかし、作業担当を細分化したのであれば、その時必要ない人はさっさと帰った方が良いです。大体空気読んで残っていたってSNSやネットサーフィンしているだけであれば帰って早く夕食食べた方が健康にだってよいんです。
チームの仲間意識みたいなものも必要かも知れませんが、なんとなくデザイナーが忙しそうだから早く帰るのが悪いな、なんて全然関係のないエンジニアが意味もなく残業するのは非効率です。
制作はその時の工程で各担当が忙しい時もあれば、暇な時もあります。
それが役割分担ってものです。
ですから、そこはお互い様ということで、帰れる人は早く帰る、というのも効率化であると思います。
効率化は品質を上げることにも繋がる。
効率化というとシステマチックで、クリエイティブな感じがしないので、制作者の方には敬遠される表現かもしれません。
しかし、僕は効率化は品質に繋がると思っています。
効率化というと手先の早さというイメージを思い浮かべるかも知れませんが、ミスをしない(バグなどの不具合)、デザイン案を通すという事も効率化の中に含まれます。
デザインの直しや不具合が重なると、その分作業する時間は増えていきます。
いくら手が早くても、デザイン案は修正が何回も入ったりすると、結局工数が積みあがっていきます。これでは作業のスピード自体が早くても、制作が早い、ということにはなりません。
稼働時間を下げて効率化するには、小手先のことだけではなく、デザイン力や技術力なども必要になります。
制作においては早かろう安かろう悪かろうでは通じません。
スキルアップして効率化し、その分稼働時間が減り、売上が上がって給料も増えれば一番良いのだと思います。
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制作ビジネスは稼働率を下げて売上を上げることを考える。
不労所得という言葉がありますが、稼働率を下げて売上を伸ばすことを徹底的に考えないとビジネスになりません。
売上が上って給料は増えたけど、その分労働時間が増えるのであれば、時給分給料が増えただけに過ぎません。
稼働率を下げていかに売上を上げるかが、ビジネスとしての鍵だと思います。
そのためには徹底して効率化を考えないといけません。
仕事が増えたからスタッフを増やすだけだと、結局一人一人の稼働時間が減っても給料は増えません。やっぱり働いていて何が一番かっていうと給料です。
給料あってのやりがいです。
好きを仕事にして充実した生活を送るのが一番良いのだと思います。
そのためにも来年も徹底して制作の効率化について考えていきたいと思います。
最終的には会社に2~3時間行くくらいになって、残りの時間はバカゲーでも作って過ごせると理想です。