たかもブログ

お酒、スマホゲーム開発、Web制作のことなど好きなことを何でも書いています。事実のみすべて主観です。

全員迷走。Web制作会社が人海戦術で売り上げを伸ばそうと高確率で失敗する。

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Web制作会社の経営に携わって9年が経ちました。今年で10年目です。
現時点で成功も何もしていないですし、今も毎年の売上目標をなんとか達成しつつドキドキしながら過ごしています。

それでも10年残っている会社は数パーセントとか言われているので、周りの方や運に支えられてなんとかやってこれたのだと改めて感じております。

Webサービスで一発当てて運営で食っていこう、と意気統合して携わった当時はベンチャー企業だったのですが、いつの間にか受託制作が9割以上の普通の制作会社になっていました。結構こういう現実知ってると、自称ベンチャー企業って大体が受託制作で食ってる普通の制作会社なのではないかと思ってしまいます。

そんな感じで経営してきて、制作の中では数々の失敗をしてきましたが、僕の中での歴代一番の失敗は初期のころの人海戦術だったと思っています。

人海戦術は、とにかく人を増やしてスタートダッシュをかけるぞ!というやつです。

僕は何社かの制作会社を経験しているのですが、大体思い付きで計画性なく人を増やして失敗しているように思います。

制作者を増やす人海戦術は、仕事あってのもので仕事を増やそうとしてやってしまうと、売上アップどころか利益減少、心身共に疲弊することになります。(なりました。)

では人海戦術が実際にどう失敗だったのか、今後の教訓を兼ねて感じたことをまとめてみたいと思います。

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制作者、開発者だけを増やしても仕事は増えない。

まず、大きな勘違いは人さえ増やせば売上が上がるという考えは制作の仕事ではありえません。制作者は基本的に物を売れませんし、仕事やお客さんを持って来れるような人はかなり少ないです。

そもそも、仕事を自分で持って来れる、取って来れる人は起業なりフリーランスなどでとっくに独立しています。

制作者を集めて売上アップをしようとしても、まず売上アップするための営業力や自社サービス、強みなどの企画がないと人件費ばかりがかさんでまったく売上は増えません。

よく企画からアイデアまで新しく人を集めて募ろう、なんて考えている経営者がいますが、制作者は与えられた仕事をこなすのが本分だと思っているので、よほど向上心やアイデアマンでない限り期待しているような動きはしてくれません。

人の数だけアイデアが生まれるみたいな考えは甘いです。
そんなにアイデア持ってる人なんていないし、考えてもない人がほとんどです。

制作者や開発者は作る案件があっての人たちです。

これを理解しないで、取りあえず人さえ増やせばなんでもできる、みたいな発想で制作者を大量に採用すると失敗します。

企画営業のように、法人に対して提案と営業をかける会社であれば、人数増やしただけ機会が生まれるのかも知れません。自社でゲームやアプリなんかを販売しているのであれば、制作者や開発者を増やせば効率良くプロダクトを世の中に輩出することもできるでしょう。

しかし、受託制作を食い扶持にしているWeb制作会社では、仕事がない、やらせることがすぐに用意できない以上、人を不必要に増やしてはいけないと感じました。

優秀な人ほど迷走している会社からはすぐに去っていく。

人を増やして社内が迷走し始めると、優秀な方ほど早めに脱出していくように思います。

設立したばかりの会社で採用サイトに募集を出すと、スタートアップやベンチャーに興味があって、小さな会社なのに大手企業から応募してくる方も結構います。

誰もが知っているような大手企業にいた経歴で、そんなに給料出せないけど大丈夫?とこちらが恐縮してしまいそうな方もいらっしゃいます。

しかし入社しても、そういう人は迷走している社内の雰囲気をすぐに感じ取ります。

よほどバイタリティーがあって、この会社を立て直す、くらいの人であれば話は別ですが、優秀な方ほど早めに去っていきます。早い人だと2日とかで「ダメだこりゃ!」と見切りをつける人が結構います。賢いですね。

人数を一番増やした時が一番人の出入りが多かったと思います。
人を増やしたことで人が出やすくもなったような感じがしました。

反対に少ない人数に絞ってから辞めなくなりましたね。

人の入れ替わりで現場が一番消耗する。

制作業界は人の入れ替わりが多いと言われますが、この入れ替わりで一番迷惑するのが現場の人間です。

小規模な制作会社に転職してから、人事に対して社長と社員が言い争っているのを何回見たことがあります。忙しい制作会社であればあるほど、人が出て行けば代わりの人を補充して欲しいと言われ、新しい人を入れれば面倒見る時間はないと言われます。

これとはまったく逆で、やることがなくて人がいてもこれまた揉めます。

どんな会社でも同じことだとは思いますが、小さな会社での人の出入りは大きな会社のそれとは大きく異なります。大きな会社だと「ああ、あの人辞めたんだ」くらいですが、小さな会社だと人の出入りはかなり疲れます。

小さな会社は一人一人の業務の負担も大きく、そこに引継ぎだとかなんだとか制作業務以外の負担が増えますので疲弊するのは当然です。

この疲弊に対してきちんと対価(給料)を払えれば良いのですが、小さな会社だとなかなかそうもいかない、このループが現場の制作者の不満にダイレクトに繋がっていくのです。

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企業理念や行動指針はなぜ必要なのかを後になって思い知った。

僕自身、正直なところ企業理念とか行動指針って耳触りの良い言葉ばかり並べて、実際の現場と全然一致していないと思うことばかりで、あまり好きではありませんでした。

立ち上げたばかりの会社では、理念とかまずはどうでも良いから、売上をどうやって上げるかを考えるのが最重要だろ!とも思ってました。

最初のうちは意気投合して作った会社でも、売上が上がらないと次第に雰囲気はとにかく売上を上げることに変わってきます。(最初はベンチャー企業だといって立ち上げた会社が結果として受託専門の制作会社になっていることはよくあります)

とにかく売上を上げろ!利益を出せ!とはっぱをかけられても、何をやったら良いか焦るばかりでみんな迷走します。

稼ぐにしても制作は単純に物を売りさばくのではなく、ゼロから作ることを買ってもらいます。ですので、他の制作会社とどう違うのか?何が売りなのか?が必要になってきます。

そこでやっぱり会社の方向性や目標といった企業理念とか行動指針なんてものが必要になってくるわけです。

売上を上げるにしても、どういう方向に会社が進んでいきたいのか、それによって稼ぐ手法も変わってきますし、アイデアの出し方だって変わってきます。

そういうことを理解しないで、とにかくアイデアを出せ、売上を上げろと言っても現場は混乱するばかりです。余裕がない時こそ理念とか指針が支えになるのではないかと後になって思いました。

僕は経営に携わっていますが社長ではないので、社長の気持ちはまだよく分かりません。

もしかしたらちょっと会社が軌道に乗ると人を増やしたくなってしまうのかも知れません。ただ、仕事を作るのは経営者であって、人を増やして仕事を作ろうとすると、少なくとも制作会社では高確率で失敗するのではないか、と感じました。

もちろん、経営者がきちんと仕事を取って来れてうまく人を扱えれば人海戦術も全然ありだと思います。ただ、自分にはそれが出来なかっただけ、と言われればそれまでですが。。

自分で会社を起こす際には二の轍を踏まないように注意したいと思います。

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