良いデザインを作るにはそれなりのお金が必要って言うけれど、お金を払えば本当に良いデザインができるの?
よく制作業界で「良いデザインが欲しいなら、相応の対価を払わないと出来ないよ」という話をする方がいます。
それに対して、制作業界でない人から「じゃあ!金出せば確実に望み通りのデザインができるんだな?」という不毛な突っ込みが入ることもあります。
では、本当に対価を支払えばどこの制作会社に依頼しても、最高のデザインが手に入るのでしょうか?
たとえばいつも10万円程度のデザインを請け負っている人に、100万円払うからどこそこの著名なデザイナーが作ったデザインと同じスペックのデザインを作ってくれ、と依頼して果たしてできるでしょうか?
実際に制作業界で働く人間の視点で、デザインとお金のことについて書いてみたいと思います。あくまでも主観です。
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制作会社のデザイン費は成果物ではなく過程に対する対価。
まず、デザイン費というのはなんなのか?という話。
基本的に制作会社が出すデザイン費はデザイナーがデザイン制作や修正のために稼働する時間に対する対価です。
厳密にいうとデザイナーのスキルや実績によって給料も変わってきますので、そこに動くデザイナーの技術料みたいなものが乗ってきます。
単価の設定は事務所などの経費や給料として支払っている人件費によるので、制作会社によって差はあります。
デザイン事務所や個人のデザイナーによっては、作品そのものに対しての対価としているところもあるかも知れませんが、たいていの制作会社は工数=稼働時間で算出することが多いです。
ですので制作側にとってみると「よいデザインを作るにはそれなりの時間がかかる=お金がかかる」という感覚なのです。
少ない予算で良いデザインを作れ、というのは時間かけないで良いものを作れ、と言っているのと同じなので、制作者がそんなことできるか!と反発するわけです。
では、時間とお金をかければ良いデザインができるのか?
答えはノーです。
デザイナーによって腕もピンキリですし、時間とお金をかければ良いデザインが出来るというわけではありません。
制作に携わっているとそれはよく分かります。
センスやスキルの限界というものはあります。
幾ら時間をかけても思い通りのデザインを作ってくれるかどうかは分かりません。
デザインにお金を払わない、というトラブルはこの辺りの満足度によって発生することが多いのも事実です。
もちろん作業をさせといて気に入らないからお金払わない、というのは論外なのですが、出した費用とかけた時間に対して成果物の品質が伴わないと感じる方がいらっしゃる気持ちは分かります。
ですので、「お金と時間」というよりは「つくる人とお金」なのかな、と思います。
一番良いのは自分の好きな作品のデザイナーにお願いすること。
では自分の納得のいくデザインを手にいれるにはどうしたら良いのか?
極論かもしれないですが、一番良いのは、自分の好きな作品を作ったデザイナーに名指しで依頼することです。
ただ、著名なデザイナーの方はネームバリューと実績がある分、それなりのお金もかかるでしょう。自分の好きなデザイナーに作って貰えるので、お金もかかる分満足感のあるデザインを作ってくれるかもしれません。
(デザイナーのファンであれば、出来たものがどんなデザインであってもうれしいかもしれません。)
これがお金を出せば自分の良いと思ったデザインを手に入れる一番良い方法です。
好きなデザイナーとかよく分からないし制作会社に頼むしかない人は、実績をよく確認。
ただ、著名なデザイナーとか分からないし、取りあえず制作会社に頼むしかない、という場合はこうはいきません。そもそもデザイナーと言ってもどのくらいの実力の人が出てくるのか分かりません。
ですので、制作実績をよく確認することです。
ただ、仕事を取れる良いデザインをするデザイナーの給料はそれなりに高いです。
ですので、腕の良い人に頼むということは単価が高くなることは覚悟する必要があります。
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よいデザインを予算内で作ってもらうにはコミュニケーションが大切。
給料払ってんだからやれ!という指示で気持ちよく動ける人なんてゼロだと思います。
それと同じで、いくら仕事だからと言っても業者という感覚でやっとけ、やりなおせ、なんて感じに扱われると、ビジネスといえど気分はよくありません。
デザイナーなどクリエイターは表現者であり手を動かす職人でもありますので、それなりに自分の考えや個性を前面に押し出して仕事をする部分もあります。
よくいうとこだわりを持っている、悪く言うと癖が強い!
それは置いておいて、表現者たちは作ったものに対して感想、出来れば賛辞を期待しております。賛辞はともかくデザインに対して「見たとかすぐには見れない」とか「良いとか悪い」とか感想くらいは寄こして欲しいというのがデザイナーの本音ではないかと思います。
制作をしていると、デザインを提出しても平気で1週間くらい何も返答がない方も結構いらっしゃいます。そしてある日突然鬼のように修正を投げてくる。
そういう接した方をする人にはそれなりのデザインしか出てこないと思います。
ビジネスで精神論の話をするのか、と言われそうですが、マメに連絡を取ってコミュニケーションを取ってくれるお客さんには良いイメージがあるものです。
ビジネスではありますが、この人なら良くしてあげたいという感情が沸き上がってくるのが人間ってもんです。
制作現場にいると、やっぱりきちんとコミュニケーションを取ってくださるお客さんの方が社内のウケも良いですし、担当するデザイナーのモチベーションも上がる傾向にあります。
中には予算が少ない中でなんとか理想のものを作ろう、とするがあまり制作会社に無茶をいう人が結構います。
しかし、どちらかというと理想のものを作りたければコミュニケーションを密に取って進めていくうえで、予算以上のものを作ってもらえるように制作者をコントロールした方が良いのではないかと思います。
実際に経験の少ないデザイナーでも、細かくきちんとイメージを伝えていけば、それなりのデザインが作れます。制作業界にいて感じるのが、本当に出来るデザイナーというのは一握りで、やっぱりデザインに修正が何度も入ったりするのも現実です。
ですので、その修正のコミュニケーションを面倒臭がらず、時間をかけてイメージを伝える手間を惜しまない。予算がないのであれば自分の時間も使って一緒に良いデザインを作る気持ちがあれば、お金に関係なく良いデザインが出来ることもあるのではないかと思います。(確実ではないですが)
ちょっと思ったことを書き連ねてみました。
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