大江健三郎 作家自身を語るを読みました。
正直大江健三郎という人自体は知っていたけれど作品を一冊も読んだことないのにいきなりこの本を購入した。
作家という仕事を生業にしている人の生活や考え方について以前から興味はあり、文豪の生活などの本はよく読んでいた。その流れで目次に目を通したとき、興味深い内容だったので購入してみた。
障害を持った息子さんがいるのはテレビで観て知っていたし、実際に生活の中で未だに子供の面倒をみながら作家生活をしているという部分で、自分自身息子のいる生活と重ね合わせ、もし同じような状況だったらということを考えさせられた。
一番興味深かったのが、書いたことが本当に起こってしまうような傾向がある、という部分。
伊丹十三の死も小説に書いている内容と似たような状態で実際に起こってしまった、など実際に誰でも知っているようなことと小説の一文を照らし合わせると確かに、と思うところもある。
小説を読んでいていつも思うのが、実際に起こったら嫌だ、自分の周りの人に起こったら嫌だ、ということを作家は平然と物語の中に組み込んでいくわけだけれど、自分が書くとしたら恐ろしいと思ってしまう。
書いている時はもしかしたら客観的で物語の要素として書いているのかも知れないが、残酷なストーリーや救いようのない悲しいストーリーなど自分に書けるのだろうか、と想像してしまう。
そういう意味でタフな精神力をもっていないと書けないのだろう。
どうなんだろう。