たかもブログ

お酒、スマホゲーム開発、Web制作のことなど好きなことを何でも書いています。事実のみすべて主観です。

制作費の価格破壊は値下げではなくて、出来ないことを断れないところから始まる。

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よく制作業界では制作費を落としてしまうと制作費の価格破壊が起こってしまうから制作価格を絶対に落としては駄目だ、ということが言われます。

僕はそれはちょっと違うのかな、と最近考えています。

企業間取引きにおいては、少なくとも僕の携わっている10年くらいは価格破壊がそんなに起こっているとは考え難いです。(あくまで僕の経験の範囲ですが)

昔はもっと儲かったという話も聞きますので、もしかしたら価格破壊が起こった後に制作業界に携わっただけなのかも知れません。

しかし、純粋に単価が下がっていなくても、価格破壊は起こり得ると思っています。
実際に制作会社の経営に関わっている僕としては、見積り時の制作単価云々より、制作進行中の工数的な価格破壊を気にしています。

制作費の価格破壊とは、単純に値引かないとか安い値段で出さないとか、そういう事だけではないと思います。

価格破壊を防ぐために、実力や実績がないのに強気の制作費を出しても、相手は信用してくれません。実績がない分費用は安めにして欲しい、そう思うのは当たり前の話だと思いますし、そもそも発注を貰えなければ価格破壊も何もあったもんじゃありません。

でも、実際に制作現場では価格破壊はいつでも起こり得ます。

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クラウドソーシングでは制作単価の価格破壊はすでに起こっている。

単純な制作単価の話でいうと、制作単価の価格破壊は始まっています。

価格破壊と言ったら失礼なのかも知れませんが、クラウドソーシングなどではすでに個人事業主の方などが、通常のBtoBの取引きでは考えられないくらい安い制作費で制作を請け負ってくれるようになっています。

ロゴなども数万円で作ってくれるので、発注する方としては大助かりですが、完全に値崩れしていると思います。

僕も会社でマッチングサイトを使ったことがあるので分かるのですが、そういうところで相見積を出しているのは、個人やこれから起業する予定で企業のような予算を取れない人たちが多いです。
自分が会社を立ち上げる時のことを想像してみると分かるのですが、Webサイト制作で企業のように何百万も払えない人が多いのではないでしょうか。そういった人たちが利用しているので、総じて予算が安く、その単価でも受注できる方や企業が集まっています。

僕は、クラウドソーシングによって制作の受発注の敷居がかなり下がったことは良いことだと思います。しかし、制作単価の面でいうと完全に価格破壊が起こっていると感じます。

ただし、それはクラウドソーシングやマッチングサイト上でのことで、冒頭で述べた通り、それなりの企業と付き合ううえでは価格破壊が起こっているとは考えにくいです。

もちろん、企業の広告費圧縮で予算自体が縮小することはありますが、制作費の単価を落とすということをしている制作会社はあまり見かけません。 

出来ないことを断れない状況が、本当の価格破壊を生み出す。

もう一案だけデザインを欲しい。
最後にもう一回だけ修正して欲しい。。

こういったお願いは、制作を進めていく過程で何度となく受けます。
制作では最後という言葉が最後ではないことがかなりあります。

Webサイトは印刷物と異なり、すぐに修正出来てすぐに修正を反映することが出来ます。ですので、まだ「検収は済んでいない」ということでいつまでも修正を強いられるケースがあります。

正直なところ、発注者との主従関係は完全に解消することはありませんので、クライアントによってはこういった追加修正などが断りにくい場合も多いです。

そこで無下に断ってしまうとサービスが良くないと思われて、次に繋がらないんじゃないか?そんなことが頭をよぎってしまいます。
営業がいない制作会社だと、クライアントとのお付き合いの継続はすごく大切なことなので、最初の印象を良くしようと思い、ついついサービスしてしまいがちです。

時には、それが過剰なサービスに繋がることもあります。
一度サービスをしてしまうと、次に断る、線引きをするタイミングが難しくなってくることもあります。(なんでこれはサービスでやってくれたのに、こっちは駄目なんだ!とか)

窓口としてクライアントを接したことのある方であれば分かるかと思います。

ここに本当の価格破壊があると思います。

それなりの金額で受注しても、結局金額(工数)以上のことをやってしまうと工数赤字になってしまうのです。

制作費に対してやり直しは幾らでも利くのがWebサイト制作なんだ、と思われてしまうところに問題があると思うのです。

 

追加作業は追加作業!見積り範囲外の作業は範囲外。

これをきちんと主張できる勇気を持つことが制作費の価格破壊防止に繋がり得るのではないかと思います。

そんなもんきちんと交渉すれば良いことだよ!と思われる制作者もいるかと思います。

しかし、実際にクライアントと対面してみると結構圧しの強い方もいらっしゃいますし、今後の付き合い方などをほのめかして交渉してくるような方も結構います。
取引きがなくなれば会社は困るし、なかなか難しいものです。

気を付けないと、制作進行の過程で制作費の価格破壊は容易に起こりえます。

僕は、予算がなければ予算なりの制作で済むことが価格破壊を防ぐ道なのかなと思います。

制作費の高い安いだけが焦点となって制作業界の価格破壊が語られますが、受注した後の制作の進め方をきちんと考えるべきなのだと僕は思います。

この問題は僕の深刻な課題でもあります。

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