たかもブログ

お酒、スマホゲーム開発、Web制作のことなど好きなことを何でも書いています。事実のみすべて主観です。

制作会社の起業に携わって8年目。肌で感じた経営者と社員の双方で埋められない溝。

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僕は、小さな制作会社を渡り歩いてきて、現在は経営に携わっています。
起業から携わって今年で8年目になります。

社員として会社に勤めていた期間と、経営側で会社に携わってきた期間がそろそろ半々に差し迫ってきています。(現在まだ社員歴の方が長いです。)

制作現場でやっていることは社員の時とあまり変わりませんが、業務への責任や人の動かし方、採用や給与査定、クライアントへの支払い催促など、今まで社員としてやってこなかったことをやる時には、最初はかなり戸惑いを覚えました。

一番はやはり人間関係で、社長と社員の間に挟まれて会社に行くのが億劫になることも度々ありました。今考えると、役員なのに自分の会社に行きたくなくなるってなんだよ!と思います。

僕は取締役ですので今は一応経営側ですが、社員として働いていたことの方が長いので社員の気持ちがよく分かります。分かる反面、経営者としてこう考えないといけない、こうしないといけない、という色々な社長さんのおっしゃっていることもよく分かります。どっちの気持ちも分かるけどさ!とずっとイライラしながらやってきました。

数年間、社長の考えと社員の考えや意見を聞きつつやっていくうちに、双方には絶対に分かち合えない溝があるということに僕なりに気が付きました。

その溝が悪いというのではなく、溝を埋めようとすると自分自身がきつくなるので、埋めるのは諦めて、溝とうまく折り合うことで無事に今日にいたっています。

そんな中で、制作会社に限っての話ですが、僕が感じた経営者が社員に求めすぎているようなところを書いてみました。それじゃ経営者としてはいかんだろ!というご意見もあることは重々承知のうえ書いてます。

ちなみに、この記事は能力もモチベーションも高い社員が沢山働いているような大きな会社ではなく、小さな制作会社をベースにしています。
キラキラ社員のいるような会社とは状況が異なるので悪しからず。

社員として働いている方よりは、現在経営に携わりながらも悶々としている方に読んでいただければと思います。

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経営者は与えているつもりでも、社員は当たり前と思っている。

社長は働きやすい職場環境、福利厚生を提供したら、当然仕事を頑張れ!売上もっと上げろ!と考えています。やってあげたことはすべてを売上アップにつなげます。

それはそうです。経営上無駄な投資をすべきではありませんし、投資をしたからにはリターンがないと投資の意味がありません。

しかし多くの社員は、快適になったというだけで、それ以上のことは感じません。
それは、社員が働きやすい環境を用意するのは会社の義務だと思っているからです。

 

賞与なんかもそうです。
昔勤めていた会社の先輩で、賞与がでるのは当たり前なんだ、ということを言っている方がいました。僕も当初は福利厚生で書いてあるから貰えることが当たり前で、少ないと逆に不満を持っていました。

経営側からすると、賞与はプレゼント的なところもあります。
(別に無理矢理支給する必要もないですし。)

スタートアップの企業だとやっとの思いで黒字化して、社員に賞与を出せるようになるのはそれなりに苦労します。
これからも頑張ってくれよ!と行った意味で無理して出している場合もあります。

しかし社員にとってみると、賞与の有難みなんてものはせいぜい月給以外のまとまったお金を貰えてラッキーくらいにしか思いません。
感謝どころか金額によっては「これだけ??」と思われるかもしれません。
いくら苦労して捻出した賞与であってもです。

大手企業のように何百万もの賞与を支給すれば意識は変わるかもしれませんが、中小の制作会社が出せるくらいの賞与だと、支給している会社側が思う程有難味を感じていないのが現実だと思います。

ですので社員にしてあげたと思っていることに対して、あまり過度な見返りを期待しない方がよろしいかと思います。どうしても人間見返りを期待してしまいがちですが、あまり感謝やリターンを期待しすぎるとストレスの原因になります。

 

経営者は自発的な動きを求めるけど、社員は指示を待っている。

社長は自分がいなくても会社が動くことを理想としています。

営業職やよほどしっかりとした信頼のおける右腕がいれば別ですが、営業のいない制作会社では社長が営業のようなものです。僕の知っている代理店の社長は自ら動いている方も多いです。

よく、ちょっと会社が軌道に乗ると、会社に来なくなったり別の事業に手を出そうとして会社をほったらかしにする社長がいますが、制作会社に関してはそんなに甘くはないと思います。(実際に潰れた会社もみたことあります。)

とはいえ、売り上げのことを考えて動く時に、いちいち現場レベルで細かい指示を出さないと何も出来ない社員よりは、少し先回りして動いてくれる社員の方が助かることは確かです。

しかし、たいていの社員は具体的な指示がないと何をして良いか分かりません。

制作者として会社に雇われている以上制作の指示がないと、それ以外の何をしたら良いか分からないのです。自主的に動きたくないのではなくて、動き方が分からない場合も多くあります。

自分で動く経営者は大きな売り上げのために動こうとしますので、現場のちまちまとした細かいことにはあまり目を向けません。まるっと社員に投げて自分は次に動こうとします。
しかし、現場の社員は細かく的確な指示を待っています。

よく無茶ぶりとか丸投げとかネットで文句を書いているのを見かけますが、経営者と社員の埋められない溝なんだろうな、と思います。 

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経営者は自主的なスキルアップを求めるけど、社員は案件ありきだと思っている。

会社は社員にスキルアップを求めます。
これは仕事をするうえでは当然のことなのですが、経営側から要求するスキルアップというのは、かなり抽象的であったりします。

例えば、アプリを作れるようになってほしい、デザインのスキルをもっと上げて欲しいといったものです。

制作者にとってみると、一概にアプリと言っても色んなものがあるし、何をやりたいか会社の方から指定して貰わないと、となります。

そもそも、自分で課題を作ってスキルアップ出来る人であれば、フリーランスなどの独立しています。簡単な技術検証レベルの学習であれば出来ますが、基本的には案件あってのスキルアップです。

ですからみなさんスキルアップやキャリアアップのために高度な事をやっている会社に転職したりするわけです。

技術者あがりでない社長は、この辺りのことをよく理解されずにスキルアップを求められてように見えますが、何を作りたいとか具体的な課題を与えて上げないと駄目なんです。方向性とか理念みたいなもので制作者にスキルアップを求めても駄目なのです。

理念でスキルアップする気になるのは、ディレクターのような間接的な役割の人だけだと思います。

ですので、スキルアップを求めるにしても、ゴールをきちんと定めてあげないといけないと痛感しました。

 

当たり前のことを当たり前にやってくれれば及第点。

最近では、社員は与えられたことを遅れずに淡々とこなしてくれればそれで良いと思っています。

会社にちゃんとくる、真面目で納期遅れない、コミュニケーションが並みに取れる、これって当たり前でいて一番重要なことです。これだけ出来れば会社は動くし、及第点ですよ。

これが出来れば、それ以上のことをまずは求めまい、というのが僕の心情です。
(もっと給料を上げて欲しければ、個人的にそれ以上に頑張って給与交渉をしてくれれば良いと思ってます。)

スタートアップや小さな会社だと、給与もあまり出せない割には、一人一人に自主性やアイデアやスキルなどの多くを求めてしまいがちです。

経営側が求めるような理念とモチベーション、スキルを持って動けるような人はあまりいませんし、いても小さな会社には来ません。

それであれば、社員には多くを求めず、自分がうまく動かして会社を大きくしていくことを考えた方が精神的にも楽だな、とここ数年で思うようになりました。

もちろん、会社の方向性や目標はきちんと理解してもらい、やる気は持って欲しいですが、まずは他人より自分なのだと思います。

 

あ、自分の会社みたいに語ってますが、持ち株ゼロの雇われ役員なんですけどね。

今の会社で色々きちんと出来ないことには、独立してもうまくいかないのかな、とも思ってます。今の環境を与えてくださった方々に感謝しつつ、日々精進です。