独り飲みで知らない人と話をしてみた。
いつも独り飲みは木曜日と決めています。
何故なら金曜日は混むから。
独り飲みは誰にも邪魔されずゆったりとした気持ちで飲みたいので、団体客が少ない時間帯や曜日を見繕って飲みに行くことにしています。
今回は行き着けの焼き鳥屋「かとりや」へ行ってきました。改装するということで一時的に休業していたのですが、すでに営業再開しているようなので改装後初の来店です。
21時頃でしたがすでにほぼ満席。
ひとつだけ空いているカウンター席に座れました。右には新聞を読みながらチューハイを飲んでいるサラリーマン。 左には大柄な坊主頭の男性がレバ刺しをツマミに美味そうに枡酒を飲んでいます。本当に美味そうに酒を飲む人っているもんです。
私はレモンサワーから始めて、冷やしトマト、焼き鳥タレ5本、レバ刺し、その後枡酒を二杯ばかり飲みました。
枡酒を口にし始めたあたりで左隣の男性が
「ここの枡酒ぐいぐいいけちゃうから、私なんかは飲んでしまうと南武線を何往復もしてしまうよ。」
と話かけてきました。
普段の私であれば、頷く程度でスマホや本などを読み始めてやり過ごしてしまうのですが、久々に飲みに来たので話に乗ってみることにしました。
話を聞いてみると役所勤めの40代の男性、独身とのことです。
ここの居酒屋へは昔先輩に連れて来られて以来、電車で帰路とは逆方向なのにわざわざ来られているとのこと、釣りが趣味でよく昔は川崎近辺で釣りをしていたなどの様々なお話を伺いました。
居酒屋というのは店員の声、客の声でガヤガヤとしているので、話が聞こえにくくすごく顔が近い位置で喋り続けていたように思いますが、これが素面であればなかなかに難しいでしょう。
これもまた酒の席ならではのコミュニケーションなのかも知れません。
話がまだまだ続きそうでしたが、こちらも帰宅の時間があるので、「お先です」と挨拶だけして会計。その後、次にシメのラーメンを食べるかどうか、頭では迷っていたのですが、足は自然とラーメン屋へ。
ラーメン屋も盛況で、 ここでも一席だけ空いていてすぐに座ることが出来ました。
座ろうとした時、やけに足を広げてビールを飲んでいる作業着を来た50代くらいの男性が隣にいました。
その隣の若い方に「あんちゃん場所広く取ってわりいな!」なんて半ば絡んでいるんじゃないかと思われるようなことを言っています。
なんか嫌な席に座っちゃったかな?と正直思いました。
その予感はあっさり的中して私がメニューを見ているとすぐに話かけてきました。
「ここのラーメンは辛いけどよ、うまいぞ!」
普段の私であればにっこり微笑んで終わりでしたが、この時は違いました。
「辛いけどそんなに後に引く辛さじゃないから美味いですよね!」
なんて満面の笑顔で応答しました。
そこからは完全に男性は私との会話に入ってきて
「辛いけど次の日の便所は大変だぞ!」なんていうことを大声で話出すので周りの方もさぞかし迷惑ではないかと心配しましたが、案外ターゲットが私になったのでほっと胸を撫で下ろしていたのかも知れません。
その後、どこの出身だ?とか何の仕事してんだ?とか色々話をして、男性は先に会計を始めました。すると会計の際に男性が「一緒に」と言っており、訝しげに店員が私のほうを見ています。
もしかして払ってくれるの?と思ったら本当にそうでした。
最初ちょっと怖かったけど、すごく気前の良い方でした。人は話してみないと分かりませんね。
以前溝の口で飲んだ時は、俺につけて良いからなんて言って日本酒勝手に追加注文して結局私が全部自分で払ったりしたので酔っ払いの言うことなんて間に受けちゃいけない、と教訓にしていたのですが、その逆でした。
毎週のように同じ店に飲みに行っていれば、こういったきっかけから繋がりが出来るのかも知れません。ただ、今回のような毎回調子よく応答する気になれないことも多いので、私は渡り鳥のように居酒屋を変えて飲み歩くのだと思います。